定理 1 (i)7/5
どんな ξ > 0 に対しても、無限に多くの n で成り立つ
4290 = 2351113
- 1ステップ法のグラフ証明書、4段階
- Lean:カーネルで検査
01結果
1967 年、Forman と Shapiro は ⌊(3/2)n⌋ と ⌊(4/3)n⌋ に合成数が無限にあることを証明しました。その議論は、どんな ξ > 0 を掛けても成り立ちます。のちに Dubickas と Novikas が 5/4 を加えました。7/5 については最も近い整数、5/2 については 1 だけずらした数列が扱われていました。5/3 についても、Novikas の博士論文が扱っているのは最も近い整数です。本研究は、ずらさない整数部分そのものについて証明します。これまでに分かっていたこと、この論文で新しいこと →
定理 1 (i)7/5
どんな ξ > 0 に対しても、無限に多くの n で成り立つ
4290 = 2351113
定理 1 (ii)5/2
どんな ξ > 0 に対しても、無限に多くの n で成り立つ
40112098026 = 23711131719232931
定理 1 (iii)5/3
どんな ξ > 0 に対しても、無限に多くの n で成り立つ
1484147626962 = 2371113171923293137
系 2どんな ξ > 0 に対しても、⌊ξ(7/5)n⌋、⌊ξ(5/2)n⌋、⌊ξ(5/3)n⌋ のどれにも合成数が無限に現れます。法と共通の約数をもつ 37 より大きい項は合成数で、項はいくらでも大きくなるからです。
定理 37/5 では、待ち時間の具体的な上限まで分かります。428 + 12L(P) 歩以内に合成数。
02位置づけ
この種の数列に現れる合成数は、1967 年から研究されてきました。左は、本研究が土台にしている、あるいは比較している先行研究です。右は、この論文が新しく加えたものです。
これまでに分かっていたこと
この論文で新しいこと
03試してみる
好きな正の数を入力してください。各項を厳密に計算し、合成数には、それを割り切る最小の証明書の素数を添えます。項をいくら並べても定理の証明にはなりません(それを担うのが有限の証明書です)。それでも、印のついた項が現れ続ける様子は確かめられます。
3 この証明書の素数で割り切れる合成数証明書の素数では割り切れない合成数素数
04しくみ
仮に、⌊ξ(7/5)n⌋ のある項から先に、2, 3, 5, 11, 13 のどれでも割り切れない項しか現れないとしましょう。その先の項の並びを「例外のしっぽ」と呼びます(その項が素数とは限りません。たとえば 323 = 17 × 19 は、5つのどれでも割り切れません)。証明は、例外のしっぽが存在しないことを、次の三段階で示します。
n 番目の項を Qn と書きます。繰り上がり cn = 5Qn+1 − 7Qn は、いつも −4 から 6 までの 11 個の整数のどれかです。ですから例外のしっぽは、有限個の局所的な規則に従います。4290 を法とする余り、小数部分、繰り上がりの組み合わせ方は、有限通りしかありません。
有理数の底では新規比較:Stephan の底 7
状態は、項の 4290 を法とする余りと、小数部分が K 等分したどのセルに入るかを記録します。辺は、繰り上がりを添えた、規則にかなう一歩です。例外のしっぽは、どれもこの有限のグラフの中の無限の道になります。7/5 では、状態は最初 960 × 32 = 30,720 個です。
非周期性の補題:Dubickas–Novikas 2005刈り込みの証明書:新規
無限に続く道は、やがてひとつの強連結成分の中にとどまります。その中のどの道でも繰り上がりが周期的になってしまうなら、その成分は取り除けます。本物の数列の繰り上がりは周期的にならないことが、Dubickas–Novikas(2005)にすでにある初等的な非周期性の補題で分かっているからです。残った部分はセルを四つに分けて細かくし、判定をくり返します。7/5 では第4段階で何も残らず、例外のしっぽは存在しません。
新規
⌊ξ(5/2)n⌋ で 10 個の素数すべてを一度に入れたグラフを直接作ると、状態は 30,656,102,400 個になります。語ラベル法は代わりに、4 頂点と、−1, 1, 3 の3つだけの繰り上がりから始めます(2 で割り切れない項は奇数で、奇数の項の次の繰り上がりは奇数になるため)。辺に繰り上がりの語をまるごと載せ、枝分かれのない道を正確に縮約し、素数をひとつずつ加えます。そのたびに、語の途中のどの項でも余りを確かめます。作るグラフの最大は 2,856,938 頂点で、最後の出力は空になります。同じ方法で 7/5 の別証明も得られます。
新規
⌊ξ(5/3)n⌋ では、2 でも 3 でも割り切れない項のあとの繰り上がりは −2, 2, 4 の三つだけで、セルは三つから始められます。ところが前向きの縮約だけでは、最後の素数 37 のグラフは 313,651,296 頂点になります。そこで 5/3 の証明書では、入ってくる道が一本しかない頂点の鎖も縮約します。そのような頂点を通る道は必ずその一本の矢印から来るので、前向きの一本道と同じように、語を後ろ向きにつなげられるのです。両方向に縮約すると、最大のグラフは 21,077,909 頂点に収まります。素数 37 の段では、ループをもつ 14,920 個の成分がすべて判定を通り、出力は空になります。
この論文の少し前、2026 年 8 月に、Ralf Stephan は、どんな ξ > 0 に対しても ⌊ξ7n⌋ に合成数が無限にあることを証明したプレプリントを公開しました。その方法は本研究といくつかの要素を共有しています。余り(2 · 3 · 5 · … · 31 を法とする)の有限のグラフを素数ひとつずつ加えて組み立てること、グラフのアルゴリズムの正しさを証明する代わりに検査器でランク関数を確かめること、そして有限の計算を native_decide で実行する Lean による検証です。違いは、周期的なふるまいの扱いにあります。
| 観点 | Stephan(2026)・底 7 | この論文・7/5、5/2、5/3 |
|---|---|---|
| グラフの状態 | 余り | 余りと小数部分のセル。本物の数列はどれも道になるが、道が数列になるとは限らない |
| どの道も周期的になる部分 | 残す。桁が周期的にくり返し、どの項も 31 以下の素数で割り切れない数列が実際にある | 取り除く。本物の数列の繰り上がりは周期的にならない |
| 最後に残るもの | 371,702 状態の核 | 何も残らない |
| 合成数が出る理由 | Dubickas の戻ってくる定理(2009):桁が周期的にくり返すと、合成数の項が必ず現れる | 決まった素数の集合が、無限に多くの項を割り切る |
| どの ξ にも通用する素数の集合 | 底 7 では存在しない(Dubickas–Jonuška 2022) | 7/5 は {2, 3, 5, 11, 13}、5/2 は {2, 3, 7, 11, …, 31}、5/3 は {2, 3, 7, 11, …, 37} |
| Lean | 番号付きのすべての主張。有限の計算は native_decide | 定理 1 と系 2。7/5 の 1 ステップの証明書はカーネルで、語ラベル法の実行は native_decide で |
Stephan の計算は、この論文のどの証明にも使っていません。二つの方法の比較は論文の序論にあります。Stephan のプレプリント・その Lean ファイル
05待ち時間
この論文で新規
定理 3 P = ⌊ξ⌋ > 13 ならば、0 ≤ n ≤ 428 + 12L(P) のどれかで gcd(⌊ξ(7/5)n⌋, 4290) > 1 となり、その項は合成数です。
どの項から数え始めても使えるので、13 より大きい項 QN から 428 + 12L(QN) 歩以内に合成数が現れます。合成数どうしの間隔は、項の対数程度より速くは広がりません。証明では、491,520 状態・891,990 本の矢印からなるもう一つのグラフを作ります。そのブロックは 65 段に積み重ねられ、道が各段で過ごせる時間を厳密に足し合わせます。
06届く範囲と限界
この論文で新規
論文は、一般の底 a/b について、証明書の方法そのものについての定理も証明しています。
操作を正確に定めると、有限の証明書が存在するのは、あるセル数と、2ab を割らない素数のある有限集合について、ある一つのグラフのすべての巡回成分が位相判定を通るときに限ります。縮約、素数のべき、2ab を割る素数は、証明できる範囲を広げません。
a ≥ 2 rad M のとき、この方法は決して終わりません。たとえば 4290 の素数だけでは、7/5 に近づいていく分数 (14k+1)/(10k+1) を、k ≥ 613 ではどれも証明できません。
二つの繰り上がりの語を組み合わせると、どのグラフでも排除できない擬軌道ができます。これを防ぐには素数を追加する必要があり、その積 R は次を満たさなければなりません。
これらの結果が述べているのは、決まった手順が終わらないということです。何かの算術的な主張への反例ではなく、どの底でも合成数が有限個しかない、と言っているわけでもありません。この種の有限の証明書がどこまで届き、どこで届かないかの地図です。
新規
5/3 の証明書から、5/3 が正規形の意味で証明できる底の類に入ることが分かります。そのグラフの 413,857,382,400 頂点を作る必要はありません。反対側からは、長さ 119 と 134 の二つの繰り上がりの語が、23 以下の素数で作るどのグラフにも残る擬軌道を与えます。ですから 5/3 のこの種の証明書には、29 以上の素数が必要です。29 で足りるかどうかは分かっていません。
07追加の結果と未解決問題
新規Dubickas 2009 と同じ発想
互いに素な a > b ≥ 2 について、軌道の繰り上がりの列が再帰的なしっぽをもつなら、その軌道には合成数が無限にあります(定理46)。
新規
6 < ⌊ξ⌋ ≤ 540 なら ⌊ξ(6/5)j⌋ の最初の 41 項のどれかが、9 < ⌊ξ⌋ ≤ 718 なら ⌊ξ(9/7)j⌋ の最初の 19 項のどれかが合成数です(定理47)。
新規
9/7 を含む分数の族 (6t+3)/(6t+1) では、すべての係数についての主張が、ある整数プログラムが必ず止まるかどうかに帰着します(定理58)。
08検証
すべての有限の計算は、中心部分を別々に書いた二つの実装で行い、完全な出力を全要素で比較しました。個数やハッシュ値の一致ではありません。
theorem floor_seven_fifths_visits (ξ : ℝ) (hξ : 0 < ξ) (N : ℕ) :
∃ n : ℕ, max N 1 ≤ n ∧ 1 < Int.gcd ⌊ξ * (7 / 5 : ℝ) ^ n⌋ 4290 := by
exact finite_success_visits 7 5 4290 (by decide) (by decide) (by decide)
(by decide) mainFiniteSuccess ξ hξ N
# ファイルの同一性:パッケージの目録とファイルのハッシュ値
python3 -B reproduce.py verify
# 事前検査:単体検査と、選んだ小さな計算
python3 -B reproduce.py check --output /tmp/floor-paper-check
# すべての有限の結果。二つの実装を全要素で比較
python3 -B reproduce.py recompute --output /tmp/floor-paper-full
どのコマンドも決まった制限の中で動きます。コマンドごとに 600 秒と 8 GiB、全体では check が 1800 秒、recompute が 3600 秒です。recompute には 5/3 の計算が含まれ、約 10 GB のグラフのデータを書き出します。Lean の証明は、Lean 4.29.1 と固定した Mathlib で別にビルドします。REPRODUCE.md、COMPUTATION.md、FORMALIZATION.md を参照してください。
09解説動画
四本のアニメーションで論文を順にたどります(それぞれ英語版と日本語版)。高校数学の言葉で基本を解説する、日本語の長めの動画もあります。
どの ⌊ξ(7/5)n⌋ にも、2, 3, 5, 11, 13 のどれかで割り切れる項が無限にある理由。有限のグラフを、何も残らなくなるまで段階ごとに刈り込みます。
⌊ξ(5/2)n⌋ と 10 個の素数。辺に語を載せた 4 頂点のグラフを、素数ひとつずつ持ち上げていきます。さらに ⌊ξ(5/3)n⌋ では、入口が一つしかない鎖も縮約します。最後に、方法ごとのグラフの大きさを比べます。
高校数学の知識で読める解説。付属の PowerPoint スライド(99 枚)もあります。扱うのは 7/5 と 5/2 で、5/3 は含みません。
10論文・コード・引用
Yuri Odagiri. Finite graph certificates for composite terms in rational floor sequences. 2026. doi:10.5281/zenodo.22997709
@misc{odagiri2026finite,
author = {Odagiri, Yuri},
title = {Finite graph certificates for composite terms in rational floor sequences},
year = {2026},
publisher = {Zenodo},
doi = {10.5281/zenodo.22997709},
url = {https://doi.org/10.5281/zenodo.22997709}
}
11成り立ち
論文の謝辞には、その成り立ちが詳しく書かれています。出発点は「すべてのミルズ数は無理数ではないか」という著者の問いで、本稿はその問いを解決するものではありません。
最初の予想のあと、数学的な展開、計算プログラム、文章、そして Lean による形式化は、すべて AI システムが行いました。途中の検討は AI による自動的な批評で、人間の数学者による独立した査読ではありません。Lean による形式証明が検査を通ることは、著者自身が確認しています。議論、再現可能な計算、形式証明は、読者自身が評価するよう求めています。
5/3 を加えたバージョン 3.0.0 では、あらかじめ選んだ底の証明を試みるのではなく、証明書をもつ底を探すという逆向きの探索を、著者が提案しました。探索と 5/3 の証明書は ChatGPT 上の GPT-6 Pro が作り、第二の実装、Lean による形式化、論文への統合は、Claude Code を通じて AI が行いました。
解説アニメーションとこのページも、AI の支援を受けて作成しました。